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[コメント] 昼下りの情事(1957/米)

ヘップバーン、美人なんだけど…
れーじ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







キャラクター造形の面で気持ち悪い、と思ってしまいました。

何と言うか、このキャラって渋谷とかでのたくってるイケメンヤリマン男にナンパされて手練手管で絡め取られ、処女を奪われ手篭めにされたにも拘らず「ああ、これが恋愛なのね」と悦に浸ってる愚かな田舎娘と大差ないんじゃないの?

そこんところで先ずつまづいてしまったので、後半、ヤリマン男の方が手練手管で絡め取られることになる、と言う立場の逆転があってもどうにも気分が乗れずじまい。

で、何でそんな僕が4点付けているかと言うと、むしろヘップバーンがそういう困ったチャンに映ってしまったが故に、そんな娘に苦悩する親父に感情移入しまくってしまったからなのでした。

だから僕にとってはこの映画、世紀の親父泣き映画なのです。

娘との会話に何処か噛み合わない物を感じつつ、深く入り込むのはよくないと我慢する親父。

娘とヤリマン男の関係を知り、娘を叱るのでなく自分の至らなさを悔いる親父。

静かな声で、しかし心のうちでは喚き散らしたいのを必死に抑えつつ、「彼女を元の生活に戻してやってください」と訴えかける親父の姿に、僕は涙が出てきました。

親父、かっこいいじゃないですか。

――――――――――――――――――

下品ついでに一つ別の下品な話をちょっと。

はじめて観た時、ラストでヤリマン男とヘップバーンが一緒に汽車に乗って行っちゃうと言う展開と、それを見て唖然としつつにやりと会心の笑みを浮かべる親父に不満を覚えたのですが、今改めて考えると、僕のような見方をしていても、むしろこの方が良かったような気がします。

親父の言う「元の生活に戻せ」と言うのは、つまり情事優先の爛れた生活から、尋常で健全な生活に戻してやってくれと言うことであって、ヤリマン男と別れると言うこととは微妙に意味が違うんですよね。

選択肢の一つとしてヤリマン男の方が更正して、尋常な生活に入ると言うのも十分にアリな訳で。

で、むしろこの映画にとってはいろんな意味でその選択が最良のものだったのではないかと思います。

何せ、劇中で既に失われてしまった処女性をヘップバーンが維持するには一穴主義を通さなければならなかったわけですから。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] sawa:38[*] きわ[*] ジェリー[*]

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