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[コメント] ドント・ウォーリー・ダーリン(2022/米)

劇中がどういう世界なのか、確定的なことは語られないから、断片的な情報から想像するしかない。だからこそ、この映画は何が言いたいのかと深く考えてしまう。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







男が夫として昼間、外に働きに出て(現実は仮想空間から現実社会に戻り、会費だか利用料だかのようなものを稼ぎにいくのだろう)いる間、女は妻として、家をきれいにし自らを美しくするためにいそしむ、という(男の)理想が、いかに一方的で古臭いものか、痛烈に描いた映画なのだろう。

だが他方では、その男の一方的な世界であっても、自ら望んでその世界に入りたがる、いや、入らざるをえない境遇の女性もいることを描いていると思う。(そしてそれは男にも言える。現実よりも夢想の世界を選ばざるをえない男もいる、ということなのだろう)

主人公だと思うアリスフローレンス・ピューは、本人の知らぬ間に夫によってあの世界に強引に連れ込まれたのだろう。だが、あの世界はそういうパートナーがいない男も利用客に引き込むために、女一人での利用も(ひょっとしたら女性は無料とかで)引き込んでいるのだろう。そしてそういうカップルのために、出会い等の偽りの記憶がいるのではないだろうか。

真実を知りながらもあの世界に留まることを望む女性が、そしてそれに憧れる男性がいるという現実を反映した映画ではないだろうか。

劇中、夫のジャックハリー・スタイルズ は子どもを持つと決意した時から、かの社長から出世を約束された。多分、子どもをつくるとはオプション契約であり、追加料金を支払う「上客」と認定されたんじゃないかと思うのだが、哀れな者たちをわずかな希望を餌に徹底的に搾り取る、そういう世界を描いたのではないかと思うが、どうだろうか。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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