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[コメント] 標的の村(2013/日)

圧倒的な臨場感に気おされる。製作者の意図と訴えたいことが明白で、それを映像の力で何倍にも増幅して、見る者の心を揺り動かすドキュメンタリー。住民たちの不屈の姿は、称賛の拍手よりも「こんなことが許されるのか」「これでいいのか」という衝撃を残す。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作を見て、1960年代初めに米軍が沖縄で住民にベトナムゲリラ兵士を演じさせて、軍事演習の標的としていたこと、その標的の村が「ベトナム村」と呼ばれていたことを、初めて知った。

その屈辱と恐怖の歴史から半世紀近くたってもなお米軍の危険と恐怖、横暴にさらされている沖縄の人々の怒りは、我々の想像をはるかに超えるのだろう。

前半、ヘリパッド建設工事に反対する住民が「この苦しみを次の世代に味あわせないことが私たちに任務だ」と叫んだ意味が、その歴史を知ることで、はるかに重いものとして感じられた。

だからこそ、2012年9月末、オスプレイ配備を許さないと住民による普天間基地封鎖という、史上空前の抵抗運動は大きな共感を呼ぶし、カメラがはっきりとその抵抗運動の中に入って、力ずくで封鎖解除される一部始終を記録したことの意義も大きい。

記録すべきものは何か、訴えるべきものは何か、このことをはっきりと自覚したドキュメンタリー映画の、白眉と言える作品だと思う。

(評価:★5)

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