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[コメント] 忍者狩り(1964/日)

目的のためなら手段を選ばない、そして手段を選ばないながらも目的達成のためにはもっとも合理的で成功する確率の高い方法をとる忍者の本質をよく表現している。その集団と戦うために、非情に徹する近衛十四郎田村高廣の凄みもまた、凄まじい。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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あっと驚くような秘術の限り、というよりも、数年前から潜入させたものをどう使うか、そして守る側はその正体のわからぬ内通者をどう倒すか、シンプルでありながら、疑わしいものはすべて斬り捨てるという戦慄の手段を取らざるをえないところまで激しい戦いの緊迫感がスクリーン全体から伝わってきた。

最初に屋敷を襲撃をする際には、襲っては引き、また現れては逃げる、を繰り返し屋敷の警護陣をかく乱させる。そして相手側に隙をつくらせようとする。

襲いかかりながら、相手と斬りあうこともせずにあっさり逃げる、というのは体面を重んじる武士からすれば、いくさ場での戦略ならともかく、通常の闘いではまず考えられないであろうが、忍者にとってはそういうものはいっさい関係ない。敵に背を向けようがどうしようがともかく目的さえ達すればよいのである。

だからこそ、容疑者が6人に絞り込まれて、疑われているとわかっていても「お墨付き」を燃やすチャンスがあれば、己をかえりみることなく実行する。そういう者たちを相手にするからには、とことん非情になって疑ってかかるしかない。まさに暗闘というにふさわしい闘いを描いた映画。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)まー 町田[*]

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