ここまでストーリーがメチャクチャになってるのに最終的には80万年後に結局行っちゃうんだ・・・。原作の主人公は好奇心に始まり好奇心に終わっていた。だがコレ、エロイとモーロックが出てきている割にはストーリーの方向性が全然違う。監督！あんたホントにあの偉大なるH・G・ウェルズの曾孫なのか！？原作通りみたいで全然原作じゃないこの映画。どっちかに割り切って欲しかった。図書館のシーンでホントの作者のウェルズが出てくるのはまあ、良かったけど。

ストーリーを序盤の形で進ませ続けるならば納得した。しかし後半は何よ！？あんな設定から始まって必要性の分からない「割れる月」見せられてから「西暦80万年」なんて必要ない！大体未来世界もあんな原住民というか原始時代みたいな感じじゃなくて、もっと「神秘的」な感じがした。俺はせめてエロイ族のウィーナが出てきて欲しかった。原作では未来の部分は全て一人称で書かれていたし、言葉が完璧に通じなかったので映画にするのは難しいかもしれないが、序盤の意味不明なラブストーリーやクライマックスのヒーロー物よりは、あの甘酸っぱい感じのエピソードが良かった。なんかそういう幻想ムードとモーロックの不気味さって意外と咬み合うと思いません？

そうそう、疑問点が一つ。未来は無数のパラレルワールドが広がっているという。結局、主人公の彼女は最終的にどういう形で死んだことになったのよ？アレクサンダーが未来に旅立ったあとは、エマの死因はどうなったわけ？あの暴漢、エマを殺さなくても結局は誰か襲って逮捕されてただろうけど、馬車の人は「前方不注意で免許停止（謎）」にされてたらチョット不幸なんじゃないかな・・・。それとも、過去は変わらないというのなら、どっちみち誰かをひき殺してたわけ？未来のことも過去のことももうワケわからんわ。ま、現代を生きている間は現代のことを考えよ。

最後に原作未読の方、一度読んでみることをオススメします。最初の方にタイムマシン理論の説明がありますが大して分からなくても、なんら問題はありません。この映画よりもずっと想像力に満ちた世界を味わってみて下さい。