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[コメント] スモーク(1995/日=米)

ハーヴェイ・カイテルが、毎日、店(煙草屋)の前の定点から写真撮影をしてアルバムを作っている。店を閉めた後にやってきた客・ウィリアム・ハートにアルバムを見せる。休暇も取れないと云う。
ゑぎ

 このアルバムのモノクロ写真自体がとてもいい。ちょっと高い、頭上あたりのアイレベルの写真。並んで座る二人の会話。この後、舗道で写真撮影する(ケーブルレリーズでシャッターを切る)カイテルのカットが繋がれるが、三脚にはキャノンAE−1。ただし、カメラ位置が低すぎるので気になった。

 ラストは、カイテルがキャノンAE−1入手時のエピソードを、ハートに語る場面。レストランのテーブル席に対面で座っているのだが、二人の切り返しから、カイテルがエピソードを語り始めると、カイテルの映ったカットが5分間程度ノーカットで続き、科白で回想が語られる。しかも、その間、バストショットから、顔のエクストリーム・クローズアップまで、ゆっくり寄って行くのだ。こゝでフラッシュバック(回想シーン)を挿入しないのが、とってもいい。回想シーンよりも、役者が科白だけで回想する方が効果的な典型例だろう。それは、役者の力(演技力というよりも存在感)が大きいということもよく分かる。エンディングのクレジットバックで、回想シーンが画面で示されるのは、私には蛇足と思える。

 あと、店に突然やって来るカイテルの昔の女をストッカード・チャニングがやっていて、左目に黒いアイパッチをしている、というのは面白いキャラ造型だ。彼女とカイテルとの間の娘が、ブルックリンに住んでいるということで、二人で娘に会いに行くのだが、こゝで娘・アシュレイ・ジャッドがワンシーンのみ登場する。ジャッドのすさんだルックスと、悪態の後の複雑な表情が心に残る。

 義手をしたフォレスト・ウィテカーのエピソードは、それほど面白くない。

(評価:★3)

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