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[コメント] 刺青(1966/日)

若尾文子増村保造もまた撮影現場で殺し合いのようにぶつかり合っていたのだろう。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 なんと艶めかしい色使い、なんと美しいカラー撮影。フィルムへの漆黒の定着と若尾文子の着物の原色(赤や黄や紺)の対比。若尾文子の肌の肌色の沢やかさ。それがまた赤い襦袢との対比で素晴らしい効果を上げる。着物を脱がされ腰まではだけたその腰の産毛がフィルムに定着しているカット!もう心底感動した。若尾文子の多くの場面でスタンドインが使われていると思うのだが、そんなことはどうでもよい。

 しかしこの映画は紛れもなく活劇だ。「男と女の関係は殺しあいだ」というような科白が佐藤慶(好演!)から吐かれたと記憶するが、ファーストカット(アバン・タイトル)で、横臥した若尾文子の苦悶の表情が映った瞬間からラストに至るまで、男と女の血みどろの殺し合い、精気の吸い尽くし合いが容赦なく冷徹に描かれる。女郎蜘蛛から血がドクドクと流れ落ちるカットの徹底ぶりには震えずにいられない。

 若尾文子と増村保造もまた撮影現場で殺し合いのようにぶつかり合っていたのだろう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)カプリコーン sawa:38[*]

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