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[コメント] グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997/米)

私は映画の感想を書く際に、できる限り脚本に言及したくないと考えている。理由は単純で、完成した映画を見るだけの観客には、脚本の実態は、ほゞ不明だからだ。脚本(シナリオ)という言葉さえできるだけ使わないで「プリプロダクションの設計」等という言葉に置き換える。
ゑぎ

 映画を見て認識できる(つもりになれる)のは、画面と音であり、認識できる「脚本らしきもの」という意味では、梗概(あらすじ)と台詞ぐらいだろうか。しかし、それらも、例えば編集や現場のアドリブによって、脚本(スクリプト・台本)から改変された結果かも知れない。

 これは圧倒的にマット・デイモンの映画。この時点の彼は、輝くばかりだ。ずっと見惚れながら見た。本作は、もうそれだけだ、と云ってしまいたくなるぐらいだ。現在の映画でも彼がスターとして重宝されているのは、この時のハロー効果が、いまだに続いているからではないのか。そう思わせてしまうぐらいなのだ。

 上のコメントに反して、ちょっと脚本に言及するが、本作はオスカー受賞のオリジナル脚本をもとにしている。流石によく練られた脚本だ、と推量できるダイアローグもあるが、やっぱり、アカデミー会員が好きそうな、大仰な嫌らしい場面も散見される。勿論、それが台本に書かれていたものかどうかは分からないのだが。例えば、デイモンが、ロビン・ウィリアムズに最初に懐柔されるベンチの場面。あるいは、ステラン・スカルスガルドとウィリアムズが口喧嘩になる教授室の場面。

 あと、ミニー・ドライヴァーは劇中で言及されるような美人とは思えないが、2回あるキスシーンはいい。それと、撮影の縦横無尽さもいいと思う。この年、『タイタニック』がなければ、本作がアカデミー賞を席捲していただろうと思わせる、普通の出来の映画。

(評価:★3)

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