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[コメント] ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー(1981/米)

これぞ映画のケレン、と感じられるカットが5分置きぐらいに繰り出される(計測してませんが)。冒頭の雨の路上と、アパートの屋外非常階段を仰角からティルトダウンしたカットがもの凄いセンスの良いカットでまず吃驚。こゝも夜だが、この後も夜のシーンは全部いい。
ゑぎ

 元締めレオ−ロバート・プロスキーが登場する、港から夜景が見えるシーン。決行当夜、警察に尾行され、ハイウェイで振り切った後、ティルトアップして夜空を映し、ティルトダウンして屋上で作業するジェームズ・カーンジェームズ・ベルーシらに繋ぐカッティングもカッコいい!そして決行シーンの常軌を逸した過剰なスペクタキュラー。さらに、クライマックスこそ過剰な映画的造型で、プロット展開上は全く不必要な爆破と炎上シーンを持って来る。これぞ映画だと思っていると、エンディングはタイトなコンバットシューティング演出で締められるのだ。現実であれば街中大騒ぎになるところだが、そんなことはちっとも描かない、という点も映画らしさだ。

 尚、本作はジェームズ・ベルーシとロバート・プロスキー、あとプロスキーの子分役デニス・ファリナ、3人の映画デビュー作とのことだが、3人とも若くはない、ということもあるが、貫禄があり、新人とは思えない。中でもプロスキーはルックスはその辺の商店主のようだが、凄むと怖いし、頭もキレる出色の悪役だ。また、本作の警察側の悪徳ぶりも強烈な描き方で、それも含めて悪役が魅力的、という面でも、活劇としてポイントが高い。さらに、ヒロインのチューズデイ・ウェルドも、どのカットもハッとするぐらい綺麗に撮られている。ウェルドの退場の潔さが切ないが、凡庸な監督であれば、再登場させるシーンを挿入するところをそんなことしない、というのがマイケル・マンらしさだ。ちょっと本作は最強の活劇と云うべき傑作だ。

(評価:★5)

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