[コメント] 藁にもすがる獣たち(2020/韓国)
主に3つの話がパラレルに進みながら、途中で交わり、終盤カオスに発展し、ラストは意外な収束を見せる、といったプロット展開の映画だが、設定も展開も、序盤中盤は、ちょっとありきたりな感が否めない。
認知症の母親と嫁との関係や、DV夫の描き方だとかも、ありきたりだが、特に、中国から来た兄ちゃんが、死者にとりつかれる妄想を抱いてしまう、っていうのが、ひどい作劇臭い展開だと思った。画面も瞠目するような造型は全くない。
しかし、女社長、チョン・ドヨンが、満を持して、キャバ店の廊下を歩く後ろ姿カットで登場する、この辺りから、ようやく調子が乗って来る。やっぱり、この人が一番面白い。ラストに至るまで、ルイ・ヴィトンのバッグの描き方は周到に設計されており、最終的に良くできた映画だった、という感想を持つ。
でも、見終わってよく考えると、本来一番、難渋してしかるべき、だからこそ見せ場とすべきとも云える、金の出どころの場面については、バスルームの数カットで済まされている、ということに思い至る。これは、私には手抜きだと感じられるが、この人を食った省略を良い、とする考えもあるだろう。
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