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[コメント] 彌次喜多道中記(1938/日)

クレジットの最初に、片岡千恵蔵杉狂児の主演、という一枚が出る。開巻はお江戸日本橋。犬が一匹向こうから走って来るカット。この茶目っ気がいい!そして、最初の御用捕り物のシーンの迫力と洗練されたカット割りで既に瞠目する。
ゑぎ

 鼠小僧治郎吉の杉狂児がカッコいい。逃げる杉・治郎吉と片岡千恵蔵・金四郎との最初の出会いは、覆面とお面での出会いだ。

 京への旅。本物の弥次喜多は楠木繁夫ディック・ミネが演じるが、ひょんなことから、杉と片岡が弥次喜多を名乗ることになり、女旅芸人一座へ入り、馬の足になる(成瀬の『旅役者』のような)。一座のお師匠さんは、美ち奴。道中での見せ場ということでは、まずは、かどわかされた、おつた・近松里子と、お雪・比良多恵子を救う場面での、片岡の天狗の面での殺陣シーンだ。凄い早さの回転運動で、コマ落としには見えない、微速度撮影だろうか。あと、駐車場をもじった、駐馬場のシーンで、『モダンタイムス』のテーマ曲(ティティナ)がBGMでかかるクダリか。

 旅の終わり、京の三条大橋のシーンだが、これって、江戸日本橋と同じオープンセットじゃないのか?こゝで、大原女の一人として、服部富子がワンシーンのみ登場。もうちょっと絡むのかと思ったが、ほんのチョイ役でした。

 そして、一年後、片岡・金四郎がお奉行様になった後、白洲での裁定の場面を挟んだエンディング。これが、富士山が見える風景の、ロングショットの横移動なのだが、全編中でも最も素晴らしい、垂涎のカットなのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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