この時点で、陣痛分娩と赤ちゃんの産声の課題を予期させる、これは上手い構成だと思う。活劇における、戦場の妊婦のモチーフとも云えるだろう（『駅馬車』みたいな）。

　では、上の課題はどう解決されたのか。詳述はネタバレになると思うので避けますが、叫び声は騎兵隊のラッパによって、かき消されたのだ（嘘）。ただし、私は産声の問題の方が気になっていたのだが（だって、嬰児の産声、泣き声をコントロールすることは難しいでしょう）、こちらは、なんか、うやむやな描き方のように思えて納得できませんでした。

　あと、トウモロコシ畑を走るマーカスのシーンは『シャイニング』、コーンの貯蔵庫への落下は『小麦の買い占め』（古い！Ｄ・Ｗ・グリフィスです）、リーガンとマーカスが、ピックアップトラックへ逃げ込んでからの場面は『ジュラシック・パーク』を想起した。尚、別の（分娩時とは違う）騎兵隊のラッパが最後に鳴り響く。こゝは、沢山の怪物が迫り来る場面なので、本当に西部劇みたいだと思った。ラストカットの簡潔な演出もいい。