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[コメント] 夏の妹(1972/日)

栗田ひろみと、りりィと、殿山泰司による沖縄旅行、といった風情から始まる。栗田は白いワンピースのミニスカ。りりィは白いブラウスにオレンジのパンツ。殿山は白い麻のスーツ。
ゑぎ

 こゝに、沖縄在住という設定の石橋正次と、小山明子戸浦六宏佐藤慶、そして、栗田の父親役の小松方正という、おなじみの面子が加わって、肩の力の抜けた旅行映画、リゾート映画の雰囲気を醸し出しつつ、不条理劇の様相も呈して、これが、思いの外面白い映画になっているのだ。

 まず、若い三人が皆なかなかに存在感を示す。演技経験は少ないだろう二人の女優、りりィは登場間もなく入浴シーンで胸を見せるのだが、石橋とも絡みのある(しかも、かなり複雑な心情−半近親相関的な心情−で絡む)大人の女を演じている。石橋は彼らしい凛々しさが気持ちのいいキャラ造型。そして栗田もやっぱり面白い。科白も口調もウザったいが、尻上がりに可愛らしくなる。表情がよく動くところがいい。

 しかし、最も良いシーンは、主要登場人物が全員集まる2つの宴会場面だろう。一つ目は、ホテルでの夜の宴会場。最後は裁判の真似事になり、栗田が検事役で小山を被告と呼ぶ。二つ目は大人たちがエロ話に興じる昼の浜辺のシーン。いずれも、最初は小松と佐藤と小山が中心にいるが、最後は若い三人も合流する、という動きのある展開がいいのだ。それに、本作の小山も、とても綺麗に撮られている。

 そして、ラストの海上の、殿山と戸浦が乗った小舟のロングショット。これが可笑しい。このカットがあるから、1ポイント加点する、というぐらいオチとして効果的な演出だろう。この終わり方、大好き。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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