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[コメント] 摩天楼(1949/米)

クライマックスは裁判でのクーパーの大演説。それは設計者の独創性についての擁護論だ。まるで映画製作における、プリプロダクションと撮影現場以降の関係を云っているようにも聞こえてくるが、しかし、決定的に本作も演出の映画だ、ってところが皮肉っぽくて愉快。やっぱりキング・ヴィダーって面白い!
ゑぎ

 これも子供の頃テレビ放映で見ていて、なんかゲイリー・クーパーらしくないなぁという印象しか残っていなかったのだが、長じるに従って原作はリバタリアニズム(自由至上主義とでも訳しておきます)の書として有名なアイン・ランドの「水源 The Fountainhead」であるというようなことも意識するようになり、いつかは再見したいと思っていたのです。ヒロインのパトリシア・ニールも見直したかったし。

 で、今回再見してみると、これは殆どSFでした。まず、高層ビルの上層階にあるオフィスの美術装置が未来風です。主演のゲイリー・クーパーはリバタリアンというよりは自我が強すぎて人間離れした造型。パトリシア・ニールも頑固さでは負けていず、共感性の欠ける性格づけなのだが、前半はそんな彼女がプロットを牽引して違和感がないところがキング・ヴィダーの素晴らしさだろう。二人が出会う石切り場の演出は、必要最小限の見せ方が効いていて、強烈にカット割りを意識させるシーンになっているのだが、こゝもデヴィッド・ボウイでも登場しそうな(ってよくわからないですが)、SF的な画面です。そしてラストのエレベーターとビルの屋上のカットのなんという奇異な造型!やっぱりキング・ヴィダーって面白い!

(評価:★4)

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