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[コメント] ミネソタ無頼(1964/伊=仏=スペイン)

崖上の騎兵隊の兵士。ゆるやかにズームアウトすると、刑務所のような施設だと分かる。主人公は囚人のキャメロン・ミッチェルだ。ハリウッドからミッチェルを迎え、レオーネの『荒野の用心棒』と同年に製作された、コルブッチの初期西部劇。これが、結構かっちり作られているので驚いた。
ゑぎ

 ミッチェルは脱獄し、自らの冤罪をはらそうと、証人と成り得るかつての仲間フォックスを訪ねるのだが、ジョルジュ・リヴィエール演じるフォックスがカッコいい悪役なのだ。悪役が魅力的である、というのは活劇の王道だ。

 脇役で特筆すべきは、フォックスに対抗するメキシカンの無法者の首領オルティスをフェルナンド・サンチョが演じており、『コマンチェロ』(1961)のネヘミア・パーソフや『リオ・コンチョス』(1964)のエドモンド・オブライエンを彷彿とさせるカリスマの造型だ。これらハリウッド製西部劇のコピーかも知れないが中盤の見せ場を作っている。

 そして、クライマックスの町の中でのフォックスとの決闘シーン。この画面が恐ろしく暗い。このレベルの夜の黒さも意図的なディレクションなのだろう。ミッチェルは、暗闇で闘うことにアドバンテージがある、という設定上の要請からきているのだが、それをきちんと画面で造型するところが、コルブッチの偉いところなのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)袋のうさぎ

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