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[コメント] 下女(1960/韓国)

アバンタイトルは窓寄りの導入部。カットを変えて、カメラは部屋の中へ入る。新聞を読む妻。下女と不倫をしたという新聞記事の話。子供2人があやとりをするワンカットの長回しで、クレジットが入る。いい出だしだ。
ゑぎ

 カメラワークでは、前進後退移動を繰り返すのが特徴的で、ズーミングは一度も無し。これも格調高い感じにつながっている。下女の部屋からピアノ部屋へ、窓外、バルコニー側を横移動するカットがカッコいい。

 また、階段とその上の踊り場、階段上の天井なんかもうまく活用する。階段横の壁にはデスマスクのような顔の像。ただし、階段下に置いたカメラからの仰角カットが強調され、上から下への俯瞰カットは、ほとんど無かったんじゃないだろうか、印象が薄い。さらに、高低感をよく出した画面として驚かされたのは、バスのような霊柩車(?)から、バルコニー(家の階上)で、煙草を吸っている下女を撮った仰角カットだ。これは夫の見た目だが、かなり強烈な画面になっている。といった演出基調はかなりしっかりしていて、かりに1950年代のハリウッド製犯罪映画の中に置いても、よく出来た部類に入ると思う。下女と夫の帰結の描写も徹底していて好感を持つ。ただし、エピローグの付け足しは、私は不要と思う。これが良い、という人も多いのには驚く。これを付け足すディシジョンに加担した人たちは映画に対する倫理観が低い、と思う。

(評価:★3)

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