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[コメント] ロスト・メモリーズ(2002/韓国)

韓国映画は南北問題モノと純愛モノだけかと思っていたら、SF(今回はオルタナティブ・ヒストリー)モノもしっかり作れるんだなぁ。チャン・ドンゴンの日本語はご立派!ちょっと甘いけどプラス★1つ。Reviewは伊藤博文暗殺事件に関してちょっとだけ触れさせて。。。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







伊藤博文暗殺の実行犯が安重根ではないとする説は以前からかなりあった。

その根拠の主なものは、安重根のいた位置と伊藤を襲った弾丸の進入角度や方向が違ったからであるとか、伊藤の体内に残った弾丸と安重根の持つ拳銃の弾丸が違うらしいと言われているからである。まるでJFKとオズワルドの件を髣髴とさせる。伊藤の検死の際に体内に残った弾丸3発は摘出されずに傷口が縫合されたらしい。致命傷となった肺への弾丸すらもだ。どうやらこの弾丸は南部式の狙撃銃で、ハルビン駅舎2階の食堂辺りから射出されたらしい事が、後に提出された伊藤の下着の着弾痕からも信憑性が高いとのこと。

当時の記録によると銃声は多数であり、安重根の発射した5発以上であったとされている。誰が伊藤を射殺したのであろうか。当時の日本関係者の多く(主に軍上層部)はこのことに気づいていた。しかし、彼らにとってそんなことはどうでもよく、むしろ満州併合に関して漸進論の伊藤と対立する急進派の山県・寺内らには朗報とも言えた。また、重要なのは朝鮮人安重根を犯人にするということであった。

この件について語りだすと映画の本題からどんどんとかけ離れていくので、興味のある方は詳細を『真説伊藤博文暗殺』(祥伝社刊 楠木誠一郎著)『暗殺・伊藤博文』(筑摩書房刊 上垣外憲一著)『伊藤博文と韓国併合』(青木書店刊 海野福寿著)に求められてはいかがかと。

そんな話を読み聞きした後に本作を鑑賞したせいかテーマ的に非常に興味深い映画だった。

特に、ラストの伊藤を囲む井上・坂本・西郷・安ら4人の銃口の行方が、分かっちゃいるけど上述した件と重なって気になって。

最後の家族団欒を楽しむ西郷の家族と、民族の為に戦う坂本たちとがクロスオーバーするシーンは、映画的にかなりいい画だと思った。

韓国人・日本人、顔だけ見てるとどっちがどっちかわかんねぇや。とにかく想像してたより面白い映画だった。何故に中村トオルが起用されたのか疑問だったけど、韓国人から見てきっと「いい顔」をした役者だったんだろうなぁ。

ちなみに、坂本の叔父を殺害したのは例の眼鏡君です。暗闇の中、坂本と取っ組み合いになった際に暗殺犯の覆面が破れ、一瞬ですが光る黒ぶちの眼鏡が見えてます。その後飛び降りた際に壊れたんでしょうね。

一部改稿2004.10.5

(評価:★5)

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