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[コメント] ぐるりのこと。(2008/日)

中盤は観ていて息苦しくなる。夫婦の、男女の、人と人との感情の交錯と彷徨という伝統的なテーマを、今さら真正面から映画にしようという愚直な取り組み姿勢には少々驚かされもするが、ここまで真摯に突き詰められると心動かされずにはいられない。
緑雨

不肖、ひとりで観てよかった、隣にヨメさんがいて一緒に観ていたとしたらあまりの赤裸々さに居たたまれなくなったに違いない。冒頭の、カレンダーに週3日×印をつけて「する」「しない」の件りからして…

…といった個人的な話はさておき、構成的に特徴的なのは、夫婦のメインプロットとは直截的には絡んでこない、画家の目を通した犯罪者たちの法廷での態様を挟む手法。誰もが知っている実在の犯罪者を明らかにモデルとすることにより現実の社会状況を重ね合わせ、夫婦の生きた'90年代という時の流れを感じさせようという方途(さしあたり『フォレスト・ガンプ』効果とでも呼ぼうか)であることは容易に想像できるが、映画作りとしてはやや「勝負を避けている」感も漂うような。一方で、映画に充満した濃密な空気を適度に泳がせる効果を生んでいるのも確か。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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