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[コメント] カッコーの巣の上で(1975/米)

ニコルソンは苦手だ。眉毛も濃いが、話も濃い。そしてこのマクマーフィという男。更に苦手なタイプだ。そんな男と精神病院の話かよと、少し引いて観ていたら、えっ!というシーンが3つ、有った。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1回目は、あの看護婦長が言ったセリフ―ここの皆さんは自分の意志で自由に出て行けるのですよ―。

ええっ、閉じ込められていないの? 出て行く、行かないは個人の自由ということか。では、この話は自由も体制も関係ないだろう。婦長は自分の仕事をしているだけだ。皆は、外よりここがいいので居るだけの話なんだ。

マクマーフィについて。彼も同様のことだ。(あの時!)出て行かなかったのは、ここが良いから、或いは出て行っても行かなくても一緒と思ったのだろう。

何故だというと、元来彼は自由で(どんな圧迫を受けようが)、好き勝手なことをする男だからだ。だから自由になる為に反抗するということはなく、反抗すること自体が好きなのだ。「ダメだったが、チャレンジはしたぜ」なんて言うが、成功はどうでもよくて、チャレンジが目的(というと言葉通りだが)、彼はカッコを付けただけの事だ。

2回目はビリーのこと。観客も私もびっくりしたが、やはり、‘コワかった’のだろう。

更にマクマーフィについて。嫌いなマクマーフィだが、唯一良い点がある。昔の騎士ではないが、勇者だということだ。勇者の定義は色々有ろうが、‘恐れを知らぬ者’だと私は思っている。バカにしているのではなく、そういう人―出会ったことは無いが、昔は居たかもしれない―は純粋に凄いと思う。

マクマーフィについて理解が深まって来た。そして、その‘恐れを知らぬ意志’はビリーには届かなかったのだ。が、チーフには届いた。

3回目は、そのチーフの‘行為’。チーフはマクマーフィに父親を重ねていたのだろう。間違いなく、チーフは2人共好きだったのだ。

そして続くラストは、‘巣立ち’ではないかと思う。ハンデ(原住民であること)を持った男の巣立ちだ。巣立ちとは‘順境、逆境に関係なく、自分の意志で生きて行こうとすること’だ。体制批判、反抗、自由、希望等はその後の事だろう。

マクマーフィの映画なら3点。チーフの映画なので5点。

(評価:★5)

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