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[コメント] 昭和残侠伝 唐獅子仁義(1969/日)

素朴な疑問:名古屋はどうなった? それはさておき、ヒロイン藤純子の存在感は半端なかった。そして、テーマは題通り、‘仁義’だ。仁義、義理、人情、筋目を通す、だ。
KEI

この作品は、敵方の男花田に惚れてしまった男、風間が主人公だという見方をしたい。4つのシーン、4つのセリフから上のテーマを追う。

1,風間は言う、「もう1度逢いてぇんだよ」。ここで風間の本音が分かる。

2,しかし、再会した花田は彼に「この町を出てくれ」と言う。いざこざの現状からの判断だったが、そこ迄深く考えていなかった風間はズルズルと居残ってしまう。

3,そしてまた花田とやり合うことになるのだ。この時に花田が言う、「お前さん、義理に負けなすったな」。この言葉に重みがある。義理は通さなくてはいけないが、負けてどうするんだ!

4,そしてその後最愛の妻を殺された風間は、自分がワラジを脱いでいる親分に刃を向ける。花田が言う、「それじゃあ、一宿一飯の義理が・・・」。それを遮って、風間が言う、「あいつ(妻)が居てこその、この俺です。・・・ふっ、笑っておくんなさい。・・・こんな俺に、死に花を咲かせてやって、頂きます」。言葉をなくした花田だったが、しばらくして、「行きましょう」と言う。

仁義を越えるものがある。それは、命―ではない。‘思い’だ。その‘思い’に筋目を通すのだ。

花田も仁義、仁義と言うが、その行動を見ていると、彼の内で‘思いを大切にする’という筋目を通している。作者はそれが仁義であろうし、時代と共に少なくなって来た任侠道だといっている。だから、残侠伝という題なのだろう。本作ではそれが端的に表れている。

蛇足:主人公花田は腕っぷしも強いし、確かな判断も出来るスーパースターだ。が、私を含む普通の人は、迷って迷ってヘタを打ち、あげくは・・・というのが現実だ。だから、私は最後迄風間の気持ちがよく分かった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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