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[コメント] 浅草キッド(2021/日)

多分に情緒過多。お笑いはハードボイルドだ、っていうのはたけしも深見も強調しているところだろう。柳楽優弥も、それに対する大泉洋もかなりの難役をこなしているだけに、演出の甘ったるさに相殺されているのを感じずにはいられない。
水那岐

**ネタバレ注意**
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たけしの顔と芸なんて日本人の大半が、好き嫌い抜きで知っているわけだ。それをトレスするなんてひどい無鉄砲な試みだが、柳楽はみごとに「物真似芸ではなく」再現している。それに対し大泉演じる深見は日本人のほとんどが知らず、なおかつそれでいてたけしを敬服させる芸人魂をもって彼と対峙するわけで、これもかなりのハードルの高さだ。それをぶつけ合うわけだから、出血覚悟の勢いでふたりとも臨んでいるわけだ。これは確かに見ものであった。

しかるに演出の劇団ひとりは調子に乗って、ありし日のフランス座近辺を老いたたけしに巡らせる、なんていう泣きの常套手段を盛り込んでしまう。無粋きわまりなく、これだけでひどく興は削がれたのだが、これを何とエンドタイトルのアニメでもう一度やるのだ。何のつもりだ。これがサービスだ、というのなら劇団ひとりはもう一度の修行が必要になるだろう。べつに本編の泣きを一掃するように言っているのではない。ペーソスだって笑いの背後にあるものだ。だがこれは一言でいってやり過ぎだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)死ぬまでシネマ[*]

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