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[コメント] ヒトラーの贋札(2007/オーストリア=独)

戦争の禁忌など、いざ始まってしまえばそれほど気にもむ必要もないことだ。ドイツは依然としてユダヤ人に関する自らの過ちを詫び続けているようだが、当の約束の地に辿り着いた民族は今日もパレスチナの無辜の民人を虐殺し続けていることが頭から離れず、全くこの特別待遇の男たちに同情する気になどなれなかった。
水那岐

正直、主人公らは恵まれていたのだ。旧大日本帝国軍の中でだって、こんな扱い(何かといえば暴力を振るわれる、家畜以下の薄汚い懲罰を受ける)など日常茶飯事だった。まして同じ民族内ですら、だ。それに較べれば、自分のプライドさえ捨ててしまえば人間らしい生活が約束されている、この技術者たちの好待遇はどうしたものか。

なるほど、米英が贋札によって大打撃を受ければ自分たちを救ってくれる「友好国」はなくなるということか。しかしまぎれもない日本人である俺は、英米ソが天与の大義を掲げつつ酷い行為に及んでいることを知っている。空襲という名の無差別爆撃。被支配国の解放という名の再植民国化。そう、どこだって同じなのだ。ユダヤの末裔は、いま富をわが手に握り各国に君臨している。あまつさえこの映画の倫理観でのみ苦しめられる罰など及びもつかぬジェノサイドに手を染めている。同情の余地もない。

ナチスドイツの罪ははっきりしているが、もう散々詫び尽くして可哀想になってくるほどだ。次はユダヤ人が詫びるべき時じゃないか?何、映画から遠ざかった提案だと?当然だよ、今日のニュースの直後にこの変わり映えしない映画をシラケながら「眺めて」いたのだから!

(評価:★2)

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