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[コメント] カノン(1998/仏)

ギャスパー・ノエの頭の中を覗いてみたいです。ものすごく攻撃的・・・。
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 相当イカれてる。主人公の思考が凄まじい。あんな攻撃的な台詞だらけの脚本を書くギャスパー・ノエの頭の中を見てみたいです。常に主人公の視点から一人称で描かれるので、自分の中まで主人公と同様のクレイジーな考えが浸透してきていた。この映画を本当にクレイジーな人間が見て影響を受けたら、突拍子もないことしでかす可能性もあるかもしれない。独裁者のような偏った考え方してると思う。と言いつつも、引き込まれてみていた自分も結構クレイジーな人間なのかもしれない。見ようと思えば、コメディーとして主人公の考えを笑い飛ばすことも可能だが・・・。

 映画自体がインパクトの固まりのようだ。冒頭の中心に"F"と書かれたフランス地図や、"モラル"、"正義"といった大きな文字から見ても、初めからこの映画は何か凄そうだという感じがした。シーンを変える際の大きな音や、突然のカメラのアップなど、演出のセンスが光る。胎児を虐待死させるシーンなんかやたらインパクト強い。あんなに憎いことことするなんて酷すぎる気もするけど・・・。挑戦的だけど、見られない人はこの映画は全くダメだろう。

 演出として面白いと思った"映画館を出るなら今から30秒"というテロップだが、全て見た後を考えると蛇足だったかもしれない。見られない程耐えられないような映像はなかったと思う。むしろあれだけ暴力的な感情を持ち続けてきた主人公の娘への愛に感動すらしてしまった。どんなに人生が堕落していようと、子供への愛は大きく、普遍のものなのだろう。表面的には問題作に見えるが、そんな中でも実は父と子の愛を描いた人間ドラマに見えた。

 監督、脚本、製作、撮影、編集の全てを担当するギャスパー・ノエだが、こんな強烈な映画撮るなんて、おそらく彼は常人ではないだろう。

(評価:★5)

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