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[コメント] シャンプー台のむこうに(2001/英)

天才美容師の息子役のクセに、ジョシュ・ハートネットの前髪は何であんなにパッツンと一列なのか。まぁ何にせよこんな良い映画にレイチェル・リー・クックを出してくれてありがとう。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 こういうパターンを何と呼べばいいんでしょうかね。「ロスト・ヒーロー物」とでも名付ければいいんでしょうか。とある切っ掛けで輝きを失ってしまったヒーローが、息子のため、家族のために再度立ち上がる!そしてその技は未だ健在!ってやつ。今作ではこの王道ヒーローパターンを、ファミリーコメディの中に上手に上手に溶け込ませてあります。またその「家族」が既に失われてしまった家族であり、新たに再生させてもまたすぐに欠けてしまう家族であるというのが、切なくて地味でいいんです。「一瞬だけでもあの輝きを」という哀しい瞬間風速に心が持っていかれちゃうんです。イギリス映画ってこの辺りのしみったれ感がスゴく上手い。

 またその「瞬間風速」がキチンと「瞬間風速」足り得ているのが素敵なんですよ。決勝で次々と華やかに登場してくる各選手。そして最後に床屋のオッサンの格好のまま堂々と入場してくるアラン・リックマン!その汚れ具合が放つ色気の何とセクシーなこと。そして回るハサミと足裏のタトゥー、それだけで観客は彼の腕が全く鈍っていないことを悟るんです。昔のことなんてよくも知らないのに、気分はスッカリ「奴が帰ってきた!」です。そこで間髪入れずに放たれるのが「久しぶり」のセリフですからね。その暴風には抗うこともできずに吹き飛ばされました。それに「10年待ったのよ」と応えるサンドラに涙出ました。待ったっていうけど出てったのお前じゃん、とかいうツッコミは許されないのです。

 もちろんそこに至るまでの展開も心地よいテンポで、あざと過ぎない溜めも良かった。兄を越えようとする弟美容師とか、徐々にステージ慣れしていく市長とか、ちょっとしたサイドストーリーも効いていました。色んな不幸の中で光る小さな小さな幸せの物語。そのスタンスは物語として非常に上品で好感が持てました。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)アブサン ことは[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*]

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