さながら道化師か。以下最終段で。

それはともかく、結論から言えば、悪くなかった。終わったあと、何か言いたくなる映画だったと思う。それは、十分なレベルだったということでしょう。見終わって何も言いたくないような映画も多いんだから。厳しめな評価をする人も少なくないだろうけれど、偉大な原作を持つ映画にはありがちなことです。

あのクセのある窪塚を十分食ってしまうだけの共演者たち（そもそも、窪塚は主演だったのだろうか。あれはヒーローをめぐる周りの人間たちの想いを描いた映画ですわ）、supercar、まりんらの映像によくはまっている音楽、印象的なシーンやセリフ（これは原作由来か）、夏の青春に、胸が切なくなりました。

さて性格判断。ペコに感情移入する人間は少ないだろうな。ヒーローですから。ヒーローはヒーローを必要としないし（そういうセリフもあったな）、ヒーローを描いた映画も必要ない（だから、やっぱり彼は主演ではない）。ドラゴンやチャイナに感情移入する人間もいるだろうけど少ないでしょうな（彼らの苦しみは、やっぱり頂点に立ったりそれを知っている、「次の段階」の人間のものだ）。やっぱりスマイル派かアクマ派かで多くの人間は分かれるんですかね。

え、ぼくはやっぱりキャプテン大田……。

--- [DVD版視聴後追記]

やっぱり、よくできていると思いました。気になったのは、ドラゴンとの 白い死闘シーンで、「楽しかった、また連れてきてくれ」でペコの単純な はにかみ方。あれは違う。別に、原作至上主義でもないが、あそこは 原作の表情や、それを受けてのドラゴンの「そうか」というセリフの方がよい。 ペコが、ドラゴンの上を飛んでいくのだ、という相互の確信、自覚や、 諦念のようなものがよくでていた。映画のあれは本当に陳腐だ。 一方、その直後の、スマイルとの最後の決戦シーンは非常によく できていたと思う。ラケットの「カチン」もいいし、スマイルの 「お帰り、ヒーロー」は、あのタイミングと、あのARATAのつぶやいた 表情しか考えられないくらいうまい。