女の内なる被征服欲を上品に露わにした作品。 最初のシーンで馬車の運転手にうなじを愛撫されたときのドヌーブの恍惚の表情・デブの東洋人に抱かれた後のアンニュイな横たわり方、至る所で女の悲しいサガが見られた。

２０代のセックスは想像の産物―とは良く言ったもので、想像力が抹消されてしまったら、セックスは、特に女にとってはほとんど「快楽」と呼べないものになってしまうだろう。 「こんな」男に自分は犯されているという興奮（いや、ワ、ワタシは未経験です！）を感じる女像は、ギリシャ神話からのもの。

　島田紳助が「自分のオカンとなんて、恥ずかしくてセックスできない」友人の話をしていたけれど、結局はそういうことなんだろうなあ・・と思う。

　　セックスは非日常の中にあってこそ快感なのだろうと。