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[コメント] マイレージ、マイライフ(2009/米)

ジェイソン・ライトマン監督の画へのこだわり、特に色使いに関しては、劇中のジョージ・クルーニーが見せるネクタイへのこだわり同様に相当なものがあるように思う。場面転換の際の空撮のロケーションも良かった。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
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これは撮影のエリック・スティールバーグ(『JUNO』や『500日のサマー』の撮影も良かった)の力も大きいと思うが、ジェイソン・ライトマンの映画は、どちらかというとオーソドックスな色使いではあるのだが、派手過ぎず地味過ぎず、癖なく趣味のよい安定した画作りという点で徹底されているので、安心して映画に浸ることができる。その癖の無さが人によっては「面白みがない」と捉えられるかもしれないが、個人的には大変に好みで、それだけでもこの監督へは深い信頼を寄せたくなる。

また、そんな癖の無い画作りとは裏腹な「リストラ宣告人」という特異な題材との絶妙なバランスや、主要な登場人物を「詰め込みすぎる」ことなく必要最小限にとどめ、舞台移動によってオムニバス的なリズムを刻みながら最後は人生のあり方を問うという巧みな物語展開にも好感を抱いた。

ジョージ・クルーニーヴェラ・ファーミガアナ・ケンドリックも、それぞれに期待どおりの活躍ぶりを示していたのも嬉しかった。特に『ディパーテッド』以来お気に入りのファーミガが、大人の魅力溢れる女性を演じていたのと同時に彼女がらみで施されたほろ苦いサプライズ演出は、本作の最大の見所であったと言っても過言ではないだろう。

ただ、クルーニーがそれまでの己の人生を振り返り、孤独に苛まれるという終盤のくだりの弱さだけは、それまでがとてもいい感じで進んでいただけにとても残念に思った。

が、その部分を差し引いても、本作が稀有な個性を伴う映画監督の秀作であることには違いなく、個人的にはそんなジェイソン・ライトマンの作りなす映画の数々をこれからも心待ちにしたいと思っている。

(評価:★4)

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