[コメント] 虹の女神(2006/日)
彼女の死から物語ははじまって、一見穏やかに話は進む。けれど、はじめはほんの小さな波紋だった感情の揺れが、幾多もの細波になって世界を揺さぶる。切なくて、もどかしくて、行き場がなくて。胸を締め付けた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
上野樹里の気持ちが愛しくて、切なくて、たまらなかった。市原隼人が気になっている女の子の方へ、彼をどんと押した手。抱きしめられても気持ちが通い合っていない抱擁。「日本にいればいいのに」「がんばれ」大切に思われていないわけじゃないのに、欲しかったものとは違うことば。そして映画撮影であんなにお金に困っていた彼女がずっと残していた一万円札の指輪。
いつからだったんだろう。あの虹を一緒に見たときから彼女の中では始まっていたのかと、胸がいっぱいになった。
そして、市原隼人。彼はきっと子どもだったんだと思う。相田翔子を経て、やっと彼は気持ちに向き合える男になって、思い出したのが上野樹里で。けれど、間に合わなかった。
何度か彼女に近しい人に言われていた。彼女はあなたのことがきっと好きだよって。でも、ずっとそれは彼に届いていなかった。なのに、彼女を失った今、手紙と指輪が彼女の気持ちを届けてしまった。
虹はきれいだけれど、留めておけない。どんなに近づこうとしても手を触れられない。やっと本当の彼女に触れることができたのに、もう手が届かない。虹は二人を繋ぐものでもあったのに。
彼女の地球最後の日。彼の声を聞いただろうか。虹を見ていただろうか。
胸が締め付けられる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。