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[コメント] 昭和残侠伝 死んで貰います(1970/日)

その昔観客は、皆高倉健になりきって肩をいからせながら映画館を後にしたという。その気持ち今日は凄く判る。
ADRENALINE of Adrenaline Queen

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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数多く作られた東映任侠路線。数が多すぎてどれから手を付けていいのか判らなかったけど、通りすがりの名画座でこれを上映してたので見ることにした。色あせたポスターにも「シリーズ最高傑作!」って書いてあったし。

老舗の組が新興ヤクザの無茶な勢力にやられ、義理堅い主人公が殴り込みに…という定番の話なんだけど親子の情や、男の友情などの人の情けの描写の方に重点が置かれて、またそれがとても自然で細やかに描かれていた。健さんはカタギとなって料亭で働いているので、唐獅子牡丹の入れ墨入りの体を晒すわけにもいかず、わざわざ遠くの銭湯を使っている、とかね。

そしてクライマックスの殴り込みに向かう道中で「唐獅子牡丹」の歌が流れるんだけど近くの席に座った人が小声で劇中の歌に合わせて緒に歌ってました。自分は基本的に上映中に泣く、笑う以外のことで音を立てる人は好きではないんだけど、今日ばかりは歌詞を知ってるその人が羨ましかったッス。

精悍で寡黙な高倉健、ひたすら渋い池部良可憐な藤純子三枚目ぶりで笑わせる長門裕之など出てくる役者も魅力だらけ。こういう時代が日本にもあったのか。

取りあえず決めゼリフの「死んで貰うぜ」は明日早速会社で使ってみよう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ねこすけ[*] tat ぽんしゅう[*] minoru[*]

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