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[コメント] 逆転のトライアングル(2022/スウェーデン)

オストルンド、スウェーデンの若き映画作家だとは言っても、かのベルイマンを凌駕する作品をまだ提供しているわけではない。でも、才能は感じる。ブラックユーモア的な視点で見つめた人間模様。それはおかしい。それゆえ、卑近過ぎて自分が十分俗物なのを知ってしまう。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず、ディキンソンのファッションモデルオーディションシーン。くすくす笑いたくなる、今までこういう捉え方ってなかったよなあ。面白い。

次に恋人との割り勘戦い。これは、さらに俗的で人間の本心というか、お二人は完全に戦争してると思う。

そしてとても長くはあるが、豪華観光船に乗ったブルジョアたちと底辺労働者たち(アジア系が多い)とのヒエラルキー描写。ここに突然、マルクスが出没し、共産党宣言(能力に応じ働き、欲望により受け取る)が言い放たれる。

人間、もうここまで腐り切ったらもう死ぬしかないよと思われる、まさにブニュエルさえ慄くような、現代人の醜悪さをこれぞと見せつける。そしてそのあげく、観光船はテロに会い、難破して数人だけ生き延びる孤島の原始共産制が描写される。

何とも、明快でシンプルなことか。全体的に、上から目線が全くないことがこの監督のいいところかと思う。実に楽しませてもらいました。でもこの原始共産制描写は映画としては実は真新しくはない。そこをどう捉えるか、かなあ、、。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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