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[コメント] ダイアナの選択(2007/米)

映画ってどんな手法で、どんなテーマでも何かを描くのは自由だけれど、この映画は何か、映画を製作する側の悪意とまでは行かないが、人間をテーマにしている割に人間を材料にした計算高い何かを感じてしまうのである。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







究極の人間の生存への選択をテーマにしたものは過去限りなくある。「生と死」をかけた二択選一の映画では、少し前にナチス収容所で自分の息子と娘を選択させられた母親の悲劇を鋭く掘り下げた『ソフィーの選択』という秀作がある。

母親は自ら生んだ子供の内どちらか一人がガス室送りになるのを選択させられるのである。確か母親はユダヤ人ではなく、ポーランド人であり、食うがために闇肉を買ったがため収容所送りになったと記憶している。

ところでこの映画ダイアナの場合、学校で親友と二人いるところを殺人鬼と化したクラスメートに、どちらか殺害するがそれぞれ選択しろと強要されるのである。『ソフィー〜』にしろダイアナにしろ強要者の意図は不明瞭であろうが、社会的背景が全く違うのではあるまいか。数百万人が虐殺されたホロコーストと教室での乱射事件。

選択を強要したナチスの医者と狂気のクラスメート。後者は何故か映画的企みを感じてしまうのである。何も選択などさせずに殺戮してしまえばいいではないか、と考えるのが素直な見方ではないかと思う。戦時中の狂気ではないのである。少年の犯罪なのである。何を好んで少年が二者選択などを思い浮かべるか、と思ってしまうのである。

と、こう何か引きずっているものがあったわけだが、ラスト近く『ダイアナの選択』の本当の意味が明らかにされる。でも、分かりにくいなあ。確かに死ぬときって一瞬にそれまでの人生を走馬灯のように見る、とはいうけれど、将来を一瞬にして見てしまうって、それを映像表現していたというのが分かりづらい。面白いと思う人もいるのかもしれないが、それほど感動的な内容じゃあないよね。悪く言えば引っ掛けのような企みのようなものを感じてしまう。

まあ、僕と合わなかっただけの映画かもしれないので、このあたりで筆を置きましょう。どうもヒューマンからはかなり離れた映画だと思う。

(評価:★3)

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