[コメント] あるいは裏切りという名の犬(2004/仏)
すばらしい題名、ここ2,3年こんなカッコいい題名があっただろうか。その名に負けない、これぞフランスノワール映画の再来というべき映画が出現した。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
今人生の垢も栄光も十分知り尽くしている二人の名優ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューのがっぷりよつの競演。顔も年輪が漂っている。二人ともよく見ると鼻が高すぎて、曲がっていたり、へこんでいたりする。これもなかなかいい。
そんな二人が同じ警察の中でまったく違う手法でそれぞれライバル対決にしのぎを削っている。昔は一人の女で争ったこともあるらしいことも見え隠れする。
こんなシチュエーションで面白くならないわけがない。
映像も粒子が粗く、音楽も秀逸でまさにフランスノワール。こんな映画は昔フランスの定番だったのだ。メルヴィルなんかがまさにそうで、ふと切り取った人生の煙が感じられたものだ。
細かい伏線も使い方がうまく、一人の女との確執、部下との信頼等がラストの驚きへと結びついている。
核となるヴァレリア・ゴリノの美しさも魅力的だが、ダニエル・オートゥイユが出所後に尋ねるマヌー役の女優もいいなあと思っていたら、かの名優ミレーヌ・ドモンジョだった。
こういうキャスティングもこの映画のセンスが伺われる。
警察内の裏駆け引きなどはむしろ一般社会でもまかり通っている当たり前の話で、むしろ普通のサラリーマンには身につまされる話でもある。
是非みんなに見てもらいたい映画だ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。