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[コメント] バッド・エデュケーション(2004/スペイン)

前2作が人間の命のいとおしさを描いたスケールの大きい素晴らしい映画であったのに較べ、本作はいかにも私小説、いやアルモドバルの独りよがりの独白めいた愛欲模様が主となるメロ映画風。映画的高揚は感じられず疲れまくる。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一体全体イグナシオのあの変貌振りはこの映画の核をなくしてしまっている。少年時代の彼らと現代の彼らとの繋がりがあまりに希薄で、この映画を何か猥雑としか思えないものにしている。

イグナシオの苦悩が薬中と言う代物に取って代わり、精神的な何かがまったくないのである。展開が急に弟に取って代わられても、こちらとしてはただ面食らうだけである。

アルモドバルの描きたいことが何なのか、この映画では僕にとってはどうでもよくなり、ただうざい感情をずっと引きずったままラストまで。

それにしても、ガエル・ガルシア・ベルナルは「モーターサイクル・ダイアリーズ」であれほどカッコよかったのに、本作では身長の低さが目立つ。何か、気の毒であった。(敢えて言えば途中のセックスシーンも無用だし、他アルモドバルの好色な視線がずっとつきまとい、僕には不快だ。)

しかし、大胆な色彩映像、劇中劇の面白いトリックといい、相変わらず映画芸術的には見るべき部分も多い。その部分で加点。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)レモン汁[*] Keita[*]

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