[コメント] L.A.コンフィデンシャル(1997/米)
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正義の名のもとに暴力を行使するバド、暴力を根絶したクリーンな警察を目指しつつ、暴力意外の方法を取るうちに「出世の虫」に成り下がってしまうエド、そんな2人の正義は当初の思惑からさらに外れ、警察という社会の内部へ、さらには上層部へと向かうこととなる。
警察という後ろ盾の下に行使していた正義。しかし背景の縦社会がすでに腐りきっていることを知った時点で、彼らの横の人間関係が緊密なものになっていく。バド、エド、そして華やかな栄光にどっぷり浸かり忘れてしまった正義を、エドによって呼び覚まされることになるジャック。彼らはいつしか信頼関係で結ばれ、共通の正義の名の下に悪を根絶すべく手を合わせ戦う。
しかしこの話はここで勝利を収めて終わらないトコロがオモシロイ。事件の悪玉を退治したつもりが、再び警察社会に取り込まれた時点で、彼らの正義に限界が訪れる。真相を貫き通すことで社会に押しつぶされると知った時点で、バドは警察を去り、エドは再び腐ったシステムに自ら取り込まれる。彼らの正義は幻想となり、残ったものといえば、横のつながりから生まれた友情。
縦社会が脆弱になっていくと、横社会が緊密になっていくということと、個人の正義を行使するということが、社会においては如何に難しいことか、ということが上手く描けていると思う。映画としては、錯綜したプロットがところどころ錯綜した印象のまま終わっている気もするが、破綻することなく纏め上げられているという意味では、かなり手堅い作り。もうちょっとアクや個性が欲しいような気もするが。
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