[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード(2003/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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前年公開された『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(2002)はアニメ史に残る最高傑作だったが、翌年公開された本作は、監督を原恵一から水島努へと変えての投入となり、どうやら原点復帰を目指して作られたものらしい。
…それは分かる。特に前2作が設定は無茶苦茶ながら、内容は極めてシリアスだった事も、本作を作る上での問題となったのだろう。ただ、それが成功したのかどうかと言われると…これまでのシリーズ作品の中でも最低の作品となってしまった感じ。
楽しいところは結構あるのはあるのだ。特に前半のいくつかの映画からのパクリなど、オトナのためのサービスも忘れてないし、スピーディな展開も決して悪くはない。
ただ、原恵一作品では、一見無茶苦茶な事をやってるように見えていながら、その実は非常に内容がシリアスで、それを見事にギャグ作品に仕上げてる力量が凄いと思ってたのだが、今回は何せ肝腎なストーリーの核が笑えないギャグだったので、その周辺の演出でいくら頑張ってもしらけるばかりだった。
これまでのシリーズでは結構重要な役割を果たしていた幼稚園の面々もここでは邪魔しかしてないし、家族がバラバラになって、それで一つに結集していく過程も説得力無し。幼稚園児が東京から熱海まであんな速く行けるかよ。ギャグを作りたければ、幾ばくかのリアリティってのが重要なんだ。それ自体を放棄してしまったら、単に瞬間的な映像が次々と現れるだけの作品になってしまう…事実本作はその好例だ。
それに何より、主題であったはずの焼き肉を食べる描写が全然旨そうに見えないのが致命的。焼き肉ってのは、決して高級な食い物じゃない。一人一人がじっくりと時間をかけておいしそうに食べるのではなく、まるで戦争のように相手を押し合いへし合いしながら、生焼けだろうが何だろうが口に放り込んで、怒号が飛び交うようなものでなければ本当においしそうには見えないもんなんだ。そこが分かっちゃいねえ。
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