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[コメント] クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険(1996/日)

この辺りからシリーズの本領発揮と言ったところですね。しんのすけの行動を追ってるうちに大筋が分からなくなっていき、やがて終わった後できちんと物語になってるのが分かります。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これまで子供を中心に、大人も楽しめる作品として3本の映画が作られたシリーズだが、4作目に当たる本作からいよいよ本領発揮というか、ふっきれた感じが大変楽しい作品となった。

 テーマパークそのものが悪の帝国で、そこでの乗り物を縦横無尽に使ってのアクションもそうだが、表向き明るいテーマパークの、電気の落とされたところや、裏方と言った影の部分にスポットを当てる描写も素晴らしい。そもそも遊園地なんてものは、日常から切り離されたハレの部分を極端に拡大したものなんだから、一皮剥けば、それは極めてうら寂しいものであり、その裏の部分を強調したのは慧眼と言えよう。

 しんのすけも予定調和で動くわけでなく、物語の肝心な部分で突拍子もないことをやってくれるため、次の展開が全然読めない。いや、大筋ではまともなのに、しんのすけの変な部分を追ってる内に、大筋が見えなくなってしまい、着地した時点でようやく物語が結構まともだったことに気づくと言った方が良いか。カンタムロボ、ブリブリ左右衛門、アクション仮面という3大スター(?)も個性を出しまくってるし(特に妙に落ち着いてとんでもないことを言ってのけるブリブリ左右衛門の発言は無茶苦茶楽しい)、そして最後は家族の物語にしてしまうあたり、この辺は本郷監督よりも原恵一の味が極めて強し。これだけキャラを出して無茶苦茶をやっておきながら、よくこんなにきちんとまとめたものだと、感心できる出来。正直これがシリーズ最初の傑作と言って良い。

 ただ一方で、予算の問題か作画数が結構抑えられており、その辺の遊びが無かったことと、声の演技に負うところが多すぎた部分でちょっとマイナスか。これを自在に遊んでくれれば本物の傑作となったことだろう…って、つまりそれが『オトナ帝国の逆襲』だったってことか。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぐ〜たらだんな[*] 水那岐[*]

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