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[コメント] ガメラ対宇宙怪獣バイラス(1968/日)

「地球上に恐るべき生物を発見せり!その名は…」ここでシビれました。良い所はたくさんある作品です。でも…(ちょっと下ネタあり)
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 子供の頃、テレビで観た記憶が微かに残っているのだが、かなり印象が薄い。言うなれば殆ど忘れてた(何せビデオ借りて観て、やっと思い出したくらいだから)。一見して、成る程印象薄い訳なのが分かった。何というか、華が今ひとつ無い作品。

 それで再見して思うことは、この作品、確かに良い部分はたくさんある。だけど、悪い部分も多い。ガメラ諸作品の中でも評するのにかなり困難を覚える作品だ。

 良い部分を列挙するなら、造形美術が先ず挙がるだろう。スタイリッシュなバイラス星人の宇宙船はまさに造形美。五角形の頂点に5つの居住区があり、その居住区そのものが可変というかなり凝った作りをしているし、他に類を見ないバイラス星人のデザインも良い。バイラス星人が変装した人間の目が暗闇で光るのも良い演出。後、オープニングの格好良さは特筆すべき出来。最初に火を噴きながら回転しつつ宇宙空間を航行する宇宙船は、一瞬ガメラそのものを思わせる。更にその後、ガメラとの接触であっけなく破壊される宇宙船から出されるメッセージは「地球上に恐るべき生物を発見せり!その名は…」そこで『ガメラ』のタイトルがかぶる。これ程ワクワクさせる演出はなかなか無いぞ。

 一方悪い点はこれ又多い。一時間半に満たない公開時間で20分以上のバンク映像は止めてくれ!「15分でガメラの脳を走査する」…って、本当に15分バンクフィルム流すかって!機械好きの主人公達の行動も訳分からない。子供らしい所と、妙に大人びた所が変に混ざっていて気持ち悪い。あれだけ美しい外観を持つ宇宙船の内部がちゃちすぎ。更に設定が無茶苦茶。宇宙空間を飛行するガメラがジェット噴射で飛んでるとか(ジェット噴射というのは多量の外気を取り入れて、混合気体を燃焼させるから、宇宙では使えない)、吸引光線が何故か明らかに塩ビだとか(仮にも「光線」を手で持ち上げるのは止めて)、一体合体するごとに加速度的に巨大化するバイラス星人の身体の構造も謎。

 ストーリーは完全に子供が対象になってしまった。それは仕方ないかも知れないけど、たった二人の子供助けるのために東京が火の海になったっていうのも凄まじい。ラスト以降のあの少年達の家族を襲う運命が恐ろしい。

 ところで、この作品は明らかに子供が対象なのだが、大人でしか分からない部分を併せ持つぞ。最初のバイラス星人の宇宙船破壊シーン、ガメラが頭を出したり引っ込めたりして宇宙船の壁を破壊し、やぶれた壁から覗く亀の頭から火がどばーっと…(済みません。凄まじいお下劣ネタです)

(評価:★3)

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