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[コメント] 上海バンスキング(1984/日)

今度自由劇場バージョンを観てみたいと思います。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この時代は映画界にも軽佻浮薄さが入り込んできた時代で、特にアイドル映画には辟易しており、当時中学生の私はそう言う映画を熱っぽく語る学友を鼻で笑っていたものだが(その時代に戻れたら後ろからぶん殴ってやりたい)、そんな時にこの映画の話を聞いた。聞けば、かなり物語に厚みがあり、革命だか左翼だか、色々なものが詰まった歴史物だという。更に言わせてもらうと当時密かに大ファンだった志保美悦子が出るという(笑)

 ただ、少ない小遣いの中、危険度が高い本作を観に行く事は出来なかった。代わりに何か他の作品を観たはず。実はそちらの方はあんまり記憶がないのだが、本作を観られなかった。と言う記憶だけは結構長いこと続いており、それから10年ほどしてからレンタルビデオで置いてあったのに気付き、それを借りて観た。

 多分これ、今の私が観たらかなり低い点数を付けるんじゃないかと思うのだが、これを観た当時は「ああ、やっと観られた」という思いが強かったのか、凄く面白かった。

 設定からすれば本来もっと情緒的な作品のはずだが、その辺は深作監督らしく、まるでアクション作品のように仕上げており、どことなく70年代の雰囲気も漂わせている。前半部分で面白おかしく話を展開していき、日中戦争の勃発と共に、一気に話が下降。その匙加減がなかなかよろしい。何せ天国から地獄に真っ逆さまって感じだからね。最後の方になると痛々しすぎるが、それが醍醐味って奴だろう。

 ただ、キャラはどうだろう?それぞれ良い役者だとは思うのだが、全般的にミスマッチな雰囲気は否めず。特に志保美悦子に至ってはどう見ても中国人じゃないだろうに(その辺の強引さもあるいは70年代的なのかな?)。

 私は本作大好きなのだが、自由劇場のメンバーはこれを不服とし、1988年に自分たちの手で再映画化している。是非今度観てみたいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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