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[コメント] 麻雀放浪記2020(2019/日)

スキャンダル的な意味で話題には事欠かなかったが、それ以外の見所を探す方が困難。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 低迷期の80年代邦画界にあって、あたかも彗星の如く現れて新たな邦画の可能性を示してくれた麻雀放浪記(1984)。私にとって、80年代の邦画で最初に良かったと思えた作品だったし、以降原作者阿佐田哲也作品を読みふけることにもなった。あと、それまで単なるアクション俳優だとばかり思っていた真田広之を初めて本格的役者として認識した作品でもあって、思い出深い作品となった作品だった。

 本作はある意味そのリメイクのようなところもある。一応本作はSFという体裁を取っていて、1945年と2020年という二つの時代のタイムトラベルものとなっているが、戦後直後の日本で日本人の娯楽の最たるものは麻雀であるという認識で、似た時代の中で同じような勝負をするという意味合いがあるから。

 しかしこの設定を見るだけでも物語はかなり無理がある。2020年時点で何故世界大戦が起こり、現在日本はどんな状況にあるのかの情報だけでも膨大な設定量になるし、更に1945年の時代を描写するとなると、到底一本の映画に収められるような規模ではなくなる。しあも二つの時代を行き来するのだから、そこだけで話が終わりそうなものだ。

 ストーリーを進ませるためには敢えてその設定を無視して描かねばならないのだが、だとしたらその設定ほとんど無駄じゃね?

 だから最初から無理な企画だったのだ。できたものがちぐはぐなものになってしまったのは致し方なしか。

 よくそんなのを白石監督が受けたものだとは思うが、演ってることもかなり開き直りっぽさがあって、まるで70年代のバンカラ学生の日常を描くようなものになってしまった。ますます設定の意味が感じられない。

 ストーリーにしても松尾スズキ監督の恋の門(2004)のような描写が多く、わざわざ作った意味がやっぱり感じられないまま。

 せめて主人公の哲が何故麻雀を含む賭け事に命を賭けねばならないのかのモチベーションの説明があれば無理矢理にも納得させられたのだけど、そこが不十分だったために単なるバカ映画に終わってしまった。

(評価:★2)

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