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[コメント] マイティ・ソー バトルロイヤル(2017/米)

ヘラの頭の形は「電子戦隊デンジマン」に出てきたヘドリアン女王のパクリではなく、こちらの方が元ネタ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前作となる『マイティ・ソー ダーク・ワールド』(2013)の強烈なオチで示されたように、アスガルドはロキによって支配されてしまうのだが、それでロキが何をしたかというと、何にもしなかったというのが面白い。かつて『アベンジャーズ』(2012)で地球をサノスに売り渡すほどのことをしたロキだから、何かしらの目的があるのだろうと思っていたのだが、その実は単に王座でぬくぬく暮らすことくらいしか考えてなかったというのが、いかにもロキらしいポンコツぶりだった。やったことと言えば、精々兄のソーにちょっと嫌がらせをするくらい。別段アスガルドを改革させようとか、あるいは内部から崩壊させようとかいうことを一切してない。実に分かりやすい小悪人だった(立ち居振る舞いは『ライオン・キング』(1994)のスカーに近い)。そのお陰でアスガルドは少しずつ悪くなっていくが、一応形としてはまだ健在という状況から始まる。

 外見は変わってないが、ロキが勝手をしてることで内実はボロボロ。あと一押しすればアスガルドが崩壊するという状況の中で話が始められたのはなかなか絶妙な始まりとも言える。その一押しをする存在であるヘラが現れ、あっけなくアスガルドが壊れてしまう理由付けが出来ていたから。

 このお陰でほぼ全編にわたって展開されるはずのアスガルド崩壊があっけなく描かれてしまったし、あまりにあっけなさ過ぎてしんみりする必要が無いし、その分コメディパートに時間を取る事が出来た。

 本来だったら強力なラスボスであるヘラと戦って失われたアスガルドの奪還こそ本道なのだが、結局この作品、剣闘士として戦うソーの話ばかりが出てきて、メインの話は本当にあっけなく済ましてしまう。そもそもヘラとは戦いもしてない。

 だからこの作品はメインの話がかなり脇に寄せられ、タイトル通りバトルロイヤルパートにえらく時間を使っているのが特徴。よくこんなぶっ飛んだもの作れたものだ。

 それとラスト。この展開は予想外で、このラストシーンの直後に『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018)が始まるため、必見。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ロープブレーク[*]

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