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[コメント] 花嫁の父(1950/米)

恥ずかしいことを敢えてしなければならない時、頭の中で喋りまくる声が聞こえてきます。「ああ、俺、なんでこんな所にいるんだろう。いや、俺がここにいるのはちゃんと理由があるんだ…」そうやって恥ずかしさをこらえるんですね。まさにこれはその映画です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 映画という素材は現実とは違う。現実にないものを撮ろうとするのは自然の成り行きとも言える。本作はその一つの答えのようなものだ。

 現実世界で味わうことなく、しかもリアリティを増す方法。それを本作では「心理状態」というものにその題材を取っている。焦った時に頭の中でぐるぐる回る支離滅裂な思考。自分勝手に、それでもなんとか冷静にと思っているのだが、結果的に堂々巡りをするばかり…モノローグが効果的に用いられている。

 私は娘を持ってる訳じゃないけど、昔好きな女性を目の前にすると確かにこうなった(笑)。頭の中でしゃべりまくるんだよな。誰でもそう言うことはあるんじゃないかな?これを視覚化できるのは映像ならではの表現形式だ。その辺見事。

 ただ、そう言う焦った表現というのは、観ている側にも伝染してしまう。これを観てる内に身体が痒くなってきて、いたたまれない気分になってしまった。なんて言うか、私にとって本作は妙に“痛い”作品になってしまった。観てる側が映画に同化してこそ成功。だけど、同化したくない(笑)

 本作はこの年に18歳で結婚したエリザベス=テイラーが花嫁を演じるというので前評判も上々。1950年全米興行成績も7位と健闘した。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)りかちゅ[*]

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