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[コメント] ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女(2005/米)

無難すぎ。これ観るんだったら、本を読んで空想の翼広げた方がなんぼか子供のためには良いと思います。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 私にとって原作の思い入れは高く、ファン故に観たい。そしてファン故に観たくない。そんな複雑な思いを持ちつつ劇場に…

 とっ始めにBf型の爆撃機が多数出現。そこで頭は一瞬パニック。あれれ?「ナルニア」って第一次世界大戦下の話じゃなかったか?何で第二次大戦?…少なくともこれでこのこの舞台が1939年の10〜11月と言うことが分かる。イギリスの気候風土からすれば、10月末といった所か?年代を特定したかったのかな?

 ところで、ここまで有名な原作になると、映画化には多大なストレスがかかるはず。その場合、映画化にはいくつかの方法があると思う。一つには、初期の『ハリー・ポッター』シリーズのように、とりあえずなんでもぶち込んで、なんとか一本作り上げる方法。もう一つの方法は『ロード・オブ・ザ・リング』のジャクソン監督のように、技術の粋を用いて自分の思いの丈をぶつける方法。本作はどうやら前者に当たるようで、とりあえず全てのエピソードは盛り込まれている。その意味では原作に忠実にそつなくまとめられた作品とは言えるだろう。ただ、物語の中心はどこかずれが感じられて仕方がない。

 そつなくまとめること。本作を作るに当たってはそれが正しい作り方とは思うのだ。しかし、ここで描かれるのは、少年少女の冒険譚だけで終わってしまってないか?

 表層的に見れば、確かにそれだけの物語なんだけど、実際の話では「ナルニア」はもっと深い所にメッセージがあるんだが、その部分は綺麗にスルーされてしまった。

 その最たるものはアスランの描き方。ナルニアを作り上げた偉大なアスランは確かにライオンではあっても、ただのライオンであってはならないはずだと思うのだが、ここに登場するアスランは全然威厳がないのみならず、CG丸分かり。偉大さが全く感じられないのは致命的。少なくとも、私にとっての「ナルニア」の“あるべき姿”はそこにはなかった。

 その代わりとして冒険と戦いが全編を覆う。『ロード・オブ・ザ・リング』に倣ったのかもしれないけど、独自性は感じられず。

 結果として、一般向けの作品として考えれば良いんだけど、オリジナルが好きな人にはちょっと疑問符が残る作品となってしまった。

(評価:★3)

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