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[コメント] ダーククリスタル(1982/米=英)

人形でありながらこれだけの表情が出せたと言う事実の前に、ひたすら感服するのみ。特にヒロインの表情変化は見事。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 私の知り合いにこの作品が好きな人が結構いて、色々な機会にこの映画のことを聞かされていた。そう言うことで、“是非いつか観てみたい映画の一本”の候補だったのだが、つい先日、行きつけのレンタルビデオ屋でぶらぶらとビデオの棚眺めていた時に発見した。3年も通っていたのに今まで気づかなかったのが不思議だが、当然ながら早速レンタルを決め、すぐさまに観た。

 出来は…とにかく素晴らしい。こんな見事な、そして美しいマペット作品を今まで観られなかったのが悔しかった位に美しかった。

 『スター・ウォーズ』が生まれる前にも様々なクリーチャーを映画は作り出してきた。それは概ね三系統に分かれる。一つは人が中に入って動かすパターン。着ぐるみ特撮で、ハリウッドでは『キング・コング』が最も有名。日本では『ゴジラ』以降当たり前のように用いられている。もう一つはアニメーション。ここではいわゆる『クレイ・アニメーション』というやつで、造形を一コマ一コマ動かすパターン。金と技術を使う割にあまり報われない方法だが、何と言っても『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』がこの完成型だろう。(一応『キング・コング』以外はDVDを購入済み)

 そしてもう一つがマペット、もしくはマリオネットを用いる方法(マペットは人が中に手を入れて動かし、マリオネットは糸などを用い、外から操る)。ハリウッド作品では結構この方法が用いられているが、この場合、手間と金がかか一方、かなりのリアルさを得られ、アップに耐える映像が得られる。極めて微妙な技術が要求され、しかも表情が出しにくいと言う欠点がある。それをフォローするため、内部に機械を入れたものが『スター・ウォーズ』の辺りから使われ始めた。これをアニマトロニクスと呼ぶことがある。

 この映画はマペットとマリオネットを用いた、アニマトロニクス映画の中でも最高作品だ。特にジェンの微妙な表情の出し方は見事としか言いようがない。個人的にはマリオネットで操られるガーシムの昆虫のような動きがリアルで非常に好み。それにキーラーがとても可愛い(それかい!)。生命のエキスを抜き取られ、やつれた姿で健気に戦う姿はもう、完璧なヒロインって感じだ(我ながら変な趣味だとは思う)。

 物語は単純だが、こういう作品にはむしろ単純な方がよく似合う。それにファンタシーの基本とも言える『指輪物語』の良い、大切な部分をきちんと把握して作っていると思うし、最後でスケクシス族に関する重要な謎が明らかにされるシークエンスも充分意外さを感じられて上手い。

 これはもう絶対にコレクターアイテム。先日、この作品がDVD化されていると言う事実を聞かされ、猛烈に欲しくなっているところ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)高円寺までダッシュ[*] [*] ゼロゼロUFO[*]

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