[コメント] マーシャル・ロー(1998/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
昨年の事件と同じく、この作品のなかでもイスラム系過激派による連続テロがおきる。ニューヨークは戒厳令下におかれ、アメリカ当局はイスラム系住民をつぎつぎと強制収容所に隔離しようとする(少なくとも試みていた)。
これは、昨年の連続多発テロ後の状態、すなわち(物理的な隔離こそ無かったものの)、精神的な隔離を予見していたといえる。
(日本のどんなに穏健派も、鈍感な人も、コギャルも、あの直後、飛行機の隣の席にアラブ系の人が坐ったら、その振る舞いに注意したはずだ。)
本作のラストは、アメリカ当局への協力者(スパイ)でイスラム穏健派のはずの人物の自爆テロ(要するに2重スパイ)で終わる。この2重スパイによるテロは、今後おおいに起こりうると思う。
残念なのは、ここまでテロについてリアルに描いていながら、アメリカ当局の複雑さ(軍、警察、CIA)に主点が置かれていた点だ。もしかしたら、あまりにリアルになるのを恐れて、あえて主点をぼかしたのかもしれませんが…。
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以下、余談。
(特に特定の宗教・団体について、否定もしくは支持を意図したものでないことをご承知置きください。)
昨年、ニューヨークに飛行機が突っ込んだとき、皆さんは何を思いましたか?
私は、これはまるで戦時中の日本の特攻隊だと思いました。
第2次大戦以前は、世界規模の戦争の時代で、国際テロ(特に自爆テロ)などほとんどなかったとききます。テロリズムは、戦後、国際連合のもと”つくられた”世界の枠組に対する反作用として発展したようです。
(イスラム過激派以外によるテロは、第1次大戦前のオーストリア皇太子殺害、韓国併合前の伊藤博文暗殺等、例はあります。いずれの暗殺も動乱を引き起こしている点と、暗殺者が英雄となっている点に注目。伊藤博文の暗殺者の朝鮮人安重根は、昨年の韓国の教科書には、帝政日本に抵抗した英雄として記されていました。日本の教科書にさんざん因縁つけている韓国も、その教科書の実態は、かなりナショナリズムな構成となっているようです。)
ではどのように発展を?
思想面は、賛否有りますが、イスラム教の一派であるという点は避けられないと思います。そして、あくまで私の考えですが、その行動面の原型は戦時中の日本にあるのではないか?と、最近考えています。
戦時中の日本は、戦勝国はもちろん、敗戦国のドイツ・イタリアとも違った価値観を持っていました。
天皇統帥権。一億総玉砕。特攻隊。あきらめません勝つまでは…。
皆さんも聞き覚えある筈です。私は、これらが現在のテロリズムに相通じるものがあると思うのです。
今、日本は平和です。物理的には、テロの舞台となっているアメリカにもイスラエルにも遠い国です。更に、実行者が所在すると思われるパレスチナはじめ中近東諸国からも離れています。
しかし、日本は、世界で最もいや唯一の、アメリカにもテロ支援国にも近い存在といえるのではないでしょうか?
平和主義者の一日本人として、日本は和平にもっと積極的になるべきだと思います。それが、戦後責任を果たすということだと私は考えます。
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