コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ラスト サムライ(2003/米=ニュージーランド=日)

う〜ん、この感じどっかでみたなぁ、そうだ『クレしんアッパレ!戦国大合戦』だ(←乱暴すぎ)。
ホッチkiss

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これと「たそがれ清兵衛 」を加えて「取り戻せ!日本人の心三部作」ってなもんだ。

 トム・クルーズエドワード・ズウィック監督 とも、この映画の主題を表現することにかなり本気を感ずる。新旧の価値観、異文化同士の相克にドラマは生まれる。時代の波にもまれるように揺れ動く人間達のドラマ。監督の言わんとしていることは明確に感じ取れる。やや斜に構えた見方をすれば、それが今回たまたま近代化の戸羽口に立つ日本の新旧勢力と東洋vs西洋文化の構図だったのだろう。そこに絡む人々に視線を向ければもう映画になりそうなネタのひとつやふたつはいくらでも転がってるはずだ。

 とはいえ、モチーフとなっているのが”日本人”なわけで、あたらろくなリサーチもせず、これまでと同様の形骸化した日本人像にしてしまっては、重要な市場である当の日本にそっぽ向かれてしまう。そこに映画的リアリティをもたせるために歴史や生活様式、所作、精神性に至るまで徹底的にリサーチをしたに違いあるまい。西欧文化圏の人々が漠然と思い描く「侍」や「武士道」というものを「こうあって欲しい」という願いとともに端的に描いている。スゴイ。

 それにしても小雪、である。この映画を観た米国人男性はみな「日本人女性最高!イエーィ」とか思うんじゃなかろうか。ワタシは『回路』での彼女しかしらなかったが、正直そのときは特にどうってことのない印象。 しかしこの映画の彼女ときたらどうだ。やはり撮りようによってスサマジク印象ってのは変わるもんだ。キャメラは沐浴後の濡れ髪や、乱れた寝間着の合わせなんていう細部に宿らせたエロティックさを、ケダモノ目線のネイサンに重ね合わせる。 もちろんワタシたちの目もこのときケダモノになってる(w。  ラスト近く、愛する夫を手に掛けたはずのネイサンに、形見の甲冑を身につけさせる一連のシークエンス。布地越しにふれあうネイサンの体躯とたかの手、そして 憎しみと慕情がせめぎ合うその表情、静かな動きとはウラハラに心の奥底に燃え上がる激しい情動を実に良く表現しているではないか。映画史上まれにみるエロティックさだ(←ちょっといいすぎ)。ほんの軽く交わす口づけに、この映画の良心を感ずる。このまま二人同衾、何て事になったらどうしようかと思ったぞ。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ハム[*] まりな[*] プロキオン14[*] mimiうさぎ[*] ペペロンチーノ[*] 緑雨[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。