前評判からすると、あの独特でブキミな世界観とディテールに驚く程凝った

映像美のあのジャン・ピエール・ジュネ監督が何を思ったか可愛らしく

メルヘンチックな恋愛映画を撮りそれがまたすこぶるいいらしいというもの

だった。『エイリアン４』の監督に抜擢された時も驚いたけどそれは「ハリ

ウッドも気の効いた事するじゃん！」的なものだった。ただこの『アメリ』

に関しては意外だった。しかし映画がはじまった途端こちらの勝手な予想は

吹き飛ばされた、というか清清しく笑い飛ばされた感じだった。何も変わっ

てなかった。あの一癖もふた癖もある醜く笑う登場人物達、（現代劇とは思

えない）怪しい建物、荒廃した背景に生きる無垢な主人公、そして個人的に

はこれこそジュネの最大の魅力と思っているブラックユーモア。うれしくな

るぐらい変わってなかった。きっとジュネの映画を初めて観る人もジュネ

ファンもどちらも納得できる出来映えだろうと思う。とこんだけほめといて

４点なのは恋愛映画としてはちょっと物足りないと思ってしまった。