[コメント] 花田少年史 幽霊と秘密のトンネル(2006/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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私が親の有難みと、その存在感を心から実感できるようになったのは、私自身が親になってからだ。子供にとって親とは、当然のごとく最も身近に存在する(あるいは存在していた)人間であるのだが、その言動の意味が最も理解できない存在なのかもしれない。
一路にとっての両親(篠原涼子・西村雅彦)しかり、記憶の底にかすかに残る壮太(松田昂大)にとっての父(杉本哲太)も、そして今は憎しみという絆でしかつながることの出来ない聖子(安藤希)と弁護士(北村一輝)の関係においても、子供にとって親とは良しにつけ悪しきにつけ一方的に影響を及ぼし続けるミステリアスな存在でしかないのだ。
今から約10年前に作られた『学校の怪談』シリーズは、報われぬ少年少女たちの思いと魑魅魍魎が跋扈する異界をめぐる子供たちのひと夏の不思議な体験物語であった。本作で設定された不思議な世界とは「親の心」の中の世界だ。以前に比べ親子の関係が疎遠化しただとか、より複雑化したとは思わない。ただ、問題としてクローズアップされていることは確かだろう。
館内で歓声を上げ大笑いをしながらこの映画を見ていた子供たちも、一路少年たち同じように少しだけ「親の世界」の不思議さの「秘密」を垣間見ることは出来ただろうか。多分、見えていないだろう。何故なら、それが子供が子供である所以なのだから。それでも良い。松竹には、ぜひこの作品をシリーズ化して子供たちに見せ続けて欲しいと思う。
夏だけじゃなくて、冬休みも、春休みも、どんどん作らないと須賀健太君が声変わりしちゃうよ。そんな思いと可能性を抱かせる楽しい映画でした。
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