[コメント] 69 sixty nine(2004/日)
今在るものを変えたい、壊したいという思いで行動を起こす時、そのバックボーンに何らかの理由や思想がある場合と、単純に生理的衝動だけで突き進む場合では、実は後者の方が強い。何故なら前者はその動機を失敗の言い訳に擦りかえられるから。
だから大人は、何も変えられないし壊せない。
しかし、人が純粋な衝動だけで突き進むことが出来る時期もまた限られている。10代のある時期に思想ではなく衝動で行動したことが、いつの時代の人間にとっても、人生の貴重な経験となるのだ。
その経験を生き方にまで高めるためには、理由や思想よりも衝動を優先し続けなければならない。でも、青春はいつの間にか終わり、みんな物分かりの良い大人になってしまう。そして「あの時の経験」は、青春の「思い出」に変り、後には何も変らないし変えられない自分が残る。
この作品は、1969年という特異な時代背景を借りるふりをしながら、したたかにその意味ありげな記号的時代性を超越して、普遍的な青春を描くことに成功している。
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