コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ぼくんち(2002/日)

大女が二人、真っ青な海に向かって仁王立ちする。そのたくましい後姿の切ないこと。貧相さとは無縁な観月ありさ鳳蘭の起用に阪本順治のセンスが光る。何故なら幸せとは生活することであり、二人の容姿は最も生活からかけ離れているのだから。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







活力を失い、秩序をなくし、成長のシステムが壊れてしまった水平島は、今の日本の縮図のように見える。とりあえず衣食住は足りている。なのに日々感じる閉塞感。今の私たちは幸せなのだろうか。

映画の中で語られるように、求める幸せのハードルが高くなってしまっているだけなのかも知れない。飽食を尽くし醜く膨らんだ腹はあっけなく弾け、後に残った肉のたるみに隠されて幸せのモデルが見えなくなっているだけかも知れない。

さてさて、かの子(観月ありさ)と母ちゃん(鳳蘭)のように、まずいラーメンすすりつつ新たな幸せ待ちますか。やっぱり、一太(矢本悠馬)や二太(田中優貴)のように、とっととトンズラしましょうか。はたまた、コウイチ君(真木蔵人)や末吉(岸部一徳)のように、どかりと居直り決め込みましょか。

水平島にも日本にも日々の生活が過ぎていく。嫌でも明日はやってくる。明日は逃げて行かないのであります。さあさあ生活しましょ、幸せになりましょ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)ナム太郎[*] ヒロ天山[*] ペペロンチーノ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。