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[コメント] 敬愛なるベートーヴェン(2006/米=独)

第9を映画化したかっただけに見えるが、その第9を持て余しているのに閉口。所詮クラシックのマエストロを撮れる監督ではなかったのだと思う。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
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天才と凡才というと、考え乍ら作曲していくのが凡才なら、神から降ってきた音楽を聴き取るのが天才か。だとするならこの写譜師は天才なのか凡才なのか。登場時にはベートーヴェンを上回る可能性を示唆しておいて、結局そのスリリングな予感は完全に不発だった。

冒頭の観づらい映像にしても、観ているのが辛くなる第9の場面にしても、この監督には完成図に向かって築いてゆくような(クラシック音楽のような)<ビジョン>がない。僅かな1シーンで主人公の<周辺>を甥に説明させるシーンは最悪極まる。甥の役者(マシュー=グッド)こそいい迷惑だろう。脚本の完全なる敗北だ。

それに較べて… サリエリとの緊張感溢れる関係。天才と凡才。神と芸術。芸術家と家族(父・妻)。冒頭の「Symphony No. 25 in G Minor, K-183」による映画的導入の見事さ、後半の「Requiem in D Minor, K-626, Lacrymosa」、… 結局想い出されたのは悉く「あの映画」だった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)りかちゅ[*]

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